ちばの底力

県を代表する銘柄豚「柏幻霜(げんそう)ポーク」は、養豚業「惣左衛門」社長の寺田治雄さん(83)が一代で作り上げた高級ブランド肉だ。

米農家の跡取りだった。だが、「稲作は効率が悪い」と早々に見切りを付け、自宅で飼育していた1頭の豚の生産に人生をかけた。1953年、「寺田畜産」の屋号で養豚業をスタート。毎日、東京都内の高級ホテルから残飯を引き取り、豚に食べさせると、低コレステロールの良質な肉になった。その後、残飯に代わる海藻と木酢液の配合飼料を開発し、差別化した豚肉を安定的に市場に出荷することに成功した。

さらに2002年、養豚の機械の売り込みで訪れた広島県の農場で、牛肉のような脂のサシが入った豚に出会い、「これだ」と直感。農場から種豚の供給を受け、関東での売り込みを目指した。しかし肉に編み目のようなサシが入らない。そこで、360度回転しながら豚舎内の湿度、温度を管理する噴霧機を開発し、病気にならない環境に改善した。さらに食パンの耳、トウモロコシ、大豆の配合飼料の割合を毎年変えて餌を改良し、数年かけて柏幻霜ポークの生産に成功した。寺田社長は「四苦八苦だった」と振り返り、「餌はまだ研究の余地がある」と話す。

飼育豚は現在、1.2ヘクタールの農場にある5棟の豚舎に1000頭。最近は、長女の幸代専務が柏幻霜ポークを使った長期熟成の生ハムを新たなブランドとして売り出す。養豚業一筋65年の寺田社長は「今後もブランドの価値を守っていきたい」と力を込める。

【橋本利昭・毎日新聞 2018/9/27 地方版】

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